tel 0964-28-2555

Fax. 0964-28-4849

電話受付時間
8:30〜17:30

診療日 /
月曜〜土曜(土曜は午前のみ)

休診日 /
日曜・祝祭日・年末年始(12/29〜1/3)

神経難病とは

「難病」とは「難病患者に対する医療等に関する法律」(平成26年法律第50号)で規定された発病の機構が明らかでなく、 治療方法が確立していない希少な疾患で、長期の療養を必要とするものと定義されています。脳神経内科領域の難病である「神経難病」には、パーキンソン病、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、重症筋無力症などがあります。

概要

  • 多職種 / 他部門による連携のもとで、診断、治療、日常生活のサポートをおこないます。
  • 『こうありたい』という思いを大切に、それぞれの患者さまのゴールを決定します。
  • 常に新しい情報・治療を提供します。

特徴

当センターには、神経難病専門の外来、病棟、相談窓口があり、パーキンソン病、脊髄小脳変性症などの神経難病の診断、早期から進行期の治療、終末期のサポートまですべての病期に対応しております。

対象疾患

  • ■ パーキンソン病とは

    振戦(ふるえ)、動作緩慢(動きが遅くなる、細かい動きがしづらくなる)、筋強剛、姿勢反射障害(転びやすくなる)を主な運動症状とする病気です。 近年では運動症状のみならず、さまざまな非運動症状も注目されています。有病率は1000人に1人~1.5人、60歳以上では100人に約1人となっています。人口の高齢化に伴い患者さんは増加しています。

    ■ 症状

    振戦(ふるえ)、動作緩慢(動きが遅くなる、細かい動きがしづらくなる)、筋強剛、姿勢反射障害(転びやすくなる)が主な運動症状です。また、すくみ足や小刻み歩行に加えすり足等の歩行障害、腰まがりや斜め徴候、首下がりなどの特徴的な姿勢異常を認めることがあります。運動症状の他には、自律神経障害(便秘、頻尿、発汗の異常、起立性低血圧)や睡眠障害、意欲の低下、気分が晴れない(抑うつ傾向)、認知機能障害、痛みやしびれなど様々な症状を伴うことが知られています。

    ■ 原因

    現段階では不明です。中脳黒質のドーパミン神経細胞が変性脱落して、当初40万個ほどあった神経細胞が20%以下まで減少することで、運動症状が出現するといわれています。

    ■ 治療

    パーキンソン病の治療は薬物療法と非薬物療法があります。

    薬物療法
    • L-DOPA合成
    • ドパミン受容体刺激薬
    非薬物療法
    • リハビリテーション
    • 刺激療法(脳深部に電極を挿入した電気刺激)
    • L-DOPA持続経腸療法

    リハビリテーションは、薬物療法と併用して行うことで、症状のさらなる改善や生活の質の向上が期待できます。

    ■ リハビリテーション

    パーキンソン病は進行性の疾患であるため、病期(ステージ)に応じた介入方法(リハビリテーション)が重要になります。

    scroll ››

    ■ パーキンソン病短期集中リハ
    • STEP 1
      初回評価2〜3日

      ● 運動機能 / 日常生活動作 / 認知機能 / 言語機能を評価

      ● 必要に応じて画像検査など実施

    • STEP 2
      トレーニング約4週間

      ● 筋力訓練やストレッチ、歩行練習、発声練習など集中的に実施

      ● 1回40〜60分を1日2〜3セット×週6日

    • STEP 3
      最終評価2〜3日

      ● 初回評価と比較することで変化点などをチェック

    • STEP 4
      退院後フォロー

      ● 自主訓練の確認、運動や言語機能などの再評価(半年後、1年後)

    ■ パーキンソン病に特化した新しい訓練プログラム

    当院では、パーキンソン病に特化した訓練プログラムであるLSVT LOUD® / LSVT BIG®を実施しています。LSVT LOUD® / LSVT BIG®は、アメリカのRamingらが考案した、パ-キンソン病に特化し標準化されたリハビリテーションプログラムです。所定の研修を受け、資格を得たリハビリテーションスタッフが実施いたします。

  • ■ 脊髄小脳変性症とは

    脊髄小脳変性症は、主に後頭部の下側に位置する「小脳」の一部が障害される病気です。有病率は、人口10万人あたり18人程度であり、全国で3万人を超えると考えられています。

    ■ 症状

    主な症状として歩行時のふらつき、手の震え、上手に手を動かすことができない、ろれつが回らないなどの、小脳の症状である「運動失調症状」を呈します。また、病気の種類によっては、パーキンソン症状(動作が遅くなる、手足が固くこわばるなど)や自律神経障害(立ちくらみ、尿失禁)などが見られることもあります。

    ■ 原因

    原因はさまざまで、遺伝性と非遺伝性(孤発性)に分けられます。約7割が非遺伝性で残り3割が遺伝性であり、その多くが親子で伝わる常染色体顕性(優性)遺伝形式をとります。遺伝性の病気の多くは原因となる遺伝子と、その異常が判明しています。

    ■ 治療

    脊髄小脳変性症の治療は、薬物療法と非薬物療法があります。特にリハビリテーションが重要であると考えられています。脊髄小脳変性症は厚生労働省の特定疾患に指定されており、治療費の助成を受けることができます。

    薬物療法
    • TRH誘導体であるタルチレリン水和物(内服薬)
    リハビリテーション
    • バランストレーニング
    • 歩行トレーニング
    • 日常生活動作トレーニング
    • 言語トレーニング
    ■ 当院におけるリハビリテーションについて

    脊髄小脳変性症においては、リハビリテーションが大変重要視されています。国内外で短期集中的なリハビリテーションの有用性も報告されています。症状が早期なほどリハビリテーション効果が現れやすく、効果も持続すると考えられております。
    当院では、2週間から1ヶ月程度の短期の検査・リハビリテーション入院が可能で、オーダーメイドの身体トレーニングを個別で提供しております。また、病気の種類や進行の程度に応じて、身体的なトレーニングだけでなく、福祉用具や自宅の環境調整などのご提案もしています。

    ■ リハビリテーションを受けられている方の具体例
    • STEP 1
      初回評価2〜3日

      ● 運動機能 / 認知機能 / 言語機能を評価

      ● 必要に応じて画像検査、画像解析など実施

    • STEP 2
      トレーニング約4週間

      ● バランス練習、歩行練習など集中的なトレーニング

      ● トレーニングは個人に適したものを立案

      ● 1回40〜60分を1日2〜3セット×週6日

    • STEP 3
      最終評価2〜3日

      ● 初回評価と比較することで変化点などをチェック

    • STEP 4
      退院後フォロー

      ● 自主訓練の確認、運動や言語機能などの再評価(半年後、1年後)

    ※ご希望に応じて3ヶ月や6ヶ月毎に身体機能のチェックや自主訓練の見直しなどを行っていきます。

    ■ 実際のリハビリの様子

    筋力訓練やバランス訓練、歩行訓練に加え、スポーツを取り入れた訓練などを実施しております。

    筋力訓練

    バランス訓練

    歩行訓練

    スポーツを取り入れた運動機能訓練

  • ■ 筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)とは

    ALSとは、運動をつかさどる神経(運動ニューロン)が選択的に障害され、全身の筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれます。日本におけるALSの発症率は1年間で10万人あたり1.1~2.5人、有病率は10万人あたり7~11人と推計されます。

    ■ 症状

    手足の筋力、飲み込む力が弱くなり、約3~5年経過すると呼吸に必要な筋力も弱まります。進行しても通常は視力や聴力、体の感覚などは問題なく、眼球運動障害や排尿障害もみられにくい病気です。

    ■ 原因

    原因は不明ですが、世界中で病態解明に向けた研究が盛んに進められています。

    ■ 治療

    ALSの治療は、薬物療法と非薬物療法があります。特にリハビリテーションが重要であると考えられています。

    薬物療法
    • リルゾール
    • エダラボン注射

    その他にも様々な治験が進行中です。

    リハビリテーション
    • ストレッチ
    • 筋力トレーニング
    • 福祉用具・自助具を使用した日常生活動作トレーニング
    • 言語 / 嚥下トレーニング
    • 呼吸トレーニング
    • 環境調整
    ■ 当院におけるリハビリテーションについて

    ALSの症状において進行部位や進行スピードは多岐にわたります。上肢の筋力が優位に低下する方、下肢の筋力が優位に低下する方、球麻痺症状といって口腔機能(会話する能力)や嚥下機能(飲み込む能力)などが優位に低下する方、上下肢の筋力・球麻痺症状が同時に低下する方と進行スピードも人それぞれ違います。
    当院では、少しでも四肢の筋力、関節可動域を維持するための筋力トレーニング、ストレッチを行います。歩行能力の低下も徐々に進行するため、転倒しにくい動作の練習(代償手段の獲得)も行います。飲み込む力(嚥下能力)を維持するトレーニングも行いますが、胃瘻を造設することもあります。呼吸筋力の低下も起こるため呼吸リハビリを行い、 患者さま・ご家族の希望により気管切開し人工呼吸器を装着する場合もあります。 当院では人工呼吸器を装着している方へ、訓練の一環として外出訓練(バスケットボールの試合観戦など)を行っています。

    また、コミュニケーション障害に対する代償手段(透明文字盤、スイッチ操作によるタブレット・パソコン操作、視線入力によるパソコンの操作)の獲得を目指したトレーニングを行っています。さらに患者さまに合ったスイッチ適合評価、スイッチの作製、環境設定を行い、必要に応じて在宅復帰に向けた支援を行っています。

  • ■ 多発性硬化症とは

    多発性硬化症は、視神経や大脳、脊髄などの中枢神経における髄鞘が自己免疫機序で障害され、時間的・空間的な再発と寛解を繰り返す疾患です。元々は視神経脊髄炎も同じ疾患と考えられていましたが、抗アクアポリン4抗体が関与する別の疾患であることが最近わかってきました。

    ■ 症状

    視力障害、手足のしびれや脱力(感覚・運動障害)などが出現したり、その他の障害を受ける場所によって多彩な症状を来します。視神経脊髄炎では、しゃっくり(吃逆)や吐き気(悪心)、意識障害などの上記の症状に当てはまらない非主要症状で発症することもまれではありません。

    ■ 原因

    視神経脊髄炎は、アクアポリン4の発現するアストロサイトが障害され、2次的に中枢神経の髄鞘が障害される自己免疫疾患であることがわかってきました。多発性硬化症は中枢神経の髄鞘が障害される自己免疫疾患ですが、原因はまだわかっていません。

    ■ 検査

    採血(抗アクアポリン4抗体など)、髄液検査(細胞数や蛋白・糖などの一般項目、IgGインデックス、オリゴクローナルバンド)、頭部/脊椎MRIなど
    抗アクアポリン4抗体が陽性、脊椎MRIで3椎体以上の長い病変がある場合は、視神経脊髄炎が疑われます。その他の疾患を除外することも重要です。

    ■ 治療

    多発性硬化症 / 視神経脊髄炎はどちらも再発した際にステロイドの点滴治療後に後療法として内服治療を行います。それでも不十分な場合は、血漿交換や免疫治療などを追加します。
    多発性硬化症では、再発予防効果のある疾患修飾薬を早期に導入することが重要です。一方、視神経脊髄炎はそれらが無効な場合が多いため、正確に診断することが重要であり、ステロイド内服継続や免疫抑制剤などの追加内服などの治療が行われます。ここ最近では、補体、免疫細胞、サイトカインなどをターゲットにした治療薬が開発されつつあります。

  • ■ 重症筋無力症とは

    神経筋接合部(神経が筋肉につながる場所)に抗体(抗AChR抗体など)ができ、神経筋の伝達障害を来す自己免疫疾患です。まぶたが下がる(眼瞼下垂)、物が二重に見える(複視)、全身の筋力低下、疲れやすい(易疲労性)などの症状が特徴です。飲み込みが悪くなったり(嚥下障害)、呼吸困難を来したりすることもあります(呼吸障害)。感染やストレスによって急激に症候が増悪する重症筋無力症クリーゼがみられることがあります。

    ■ 症状

    易疲労性、眼瞼下垂、複視、嚥下・構音障害、四肢筋力低下、呼吸機能低下などがみられ、朝より夕方に症候がだんだん強くなるような日内変動が特徴的です。

    ■ 検査

    血液検査(抗AChR抗体、陰性例では抗MuSK抗体を測定。高齢発症であれば、病態を修飾する抗横紋筋抗体(titin抗体、リアノジン受容体抗体、Kv1.4抗体)も測定)、テンシロンテスト(治療薬を用いた効果判定検査)、神経生理検査、全身CTなどを行います。

    ■ 治療

    内服治療(ステロイド、免疫抑制剤)、大量ガンマグロブリン治療、血漿交換・免疫吸着療法などがあり、抗AChR抗体陽性で胸腺腫を伴う症例では拡大胸腺摘出術などを行います(50歳未満の若い症例で胸腺腫を伴わない場合も、発病から早期での胸腺摘除が長期効果を示し、治療選択肢のひとつとなります)。
    増悪因子に高温の環境、ストレス、不眠、感染、甲状腺機能異常などがあり、禁止薬剤に抗不整脈薬、キノロン系、アミノグリコシド系、マクロライド系の抗菌剤、呼吸抑制を来す眠剤などがあるため、それらを避けることを指導させていただきます。

  • ■ 筋ジストロフィーとは

    骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患です。代表的な病型としては、デュシェンヌ型/ベッカー型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー、 眼咽頭筋型筋ジストロフィー、福山型先天性筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィーなどがあります。

    ■ 症状

    デュシェンヌ型筋ジストロフィーは幼児期から歩きにくくなり、10歳ごろに車いすが必要になり、20歳前後で呼吸障害や心不全が強くなります。最近では人工呼吸器装着などで寿命が延びています。 筋強直性ジストロフィーでは遠位筋の筋力低下に加えて、不整脈、糖尿病、白内障、前頭部脱毛などの多彩な症状がみられます。

    ■ 検査

    病気の原因となる遺伝子・蛋白がわかってきていますが、発病に至る分子機構については十分に解明されていないものもあります。

    ■ 治療

    リハビリテーションによる機能維持、補助呼吸管理や心臓ペースメーカーなどの対症療法があります。いずれの病型においても根本的な治療法はありませんでしたが、2020年デュシェンヌ型筋ジストロフィーの一部の遺伝子変異に対して、エクソンスキッピング療法が保険適用となりました。その他の疾患でも世界中で治療開発が進んでいます。

    リハビリテーション

    筋ジストロフィーは、リハビリによって健康や活動範囲、生活の質(QOL)を維持することができます。

    • 関節可動域訓練
      拘縮や変形の予防
    • 転倒・事故予防対策
      けがや骨折の予防
    • 装具・(電動)車いす処方
      生活範囲の維持拡大、移動能力の確保
    • 呼吸理学療法
      肺を柔らかくきれいに保つ
    • 摂食嚥下訓練
      誤嚥性肺炎の予防、経口摂取(QOL)の維持
    • 環境調整
      患者さまの生活に必要な環境を整えていく
    • IT訓練など
      社会参加、就労のための技術習得サポート
      当院では終日ベッド上で全介助、人工呼吸器を装着されていても、遠隔ロボット操作を用いて就労されている方もいます。

診療実績

脳神経内科 外来患者数

scroll ››

脳神経内科 疾患別入院患者実人数

scroll ››

脳神経内科 地域別入院患者実人数[2019-2022年度]

page-top